君じゃなきゃ。


「さくらっ!!!」


ガタッと仕切りを容易く動かして一人の男が乱入してきた。



「け……健人!」


声を聞いた瞬間にわかってはいたけど……やっぱり目の前に現れると驚いてしまう。

瞬時に先輩を鋭く睨みつけるとあたしの腕を掴んだ。


「さくら!ほらっ!帰るよ!」

「ちょっ……待ってよ、健人!」


健人に腕を引っ張られ、体が持ち上がる。


動かされた仕切りのせいで周囲の様子がバッチリ見える。

かなり注目されてるし、店員もどうしたものかと迷惑そうな顔をしている。


「と、とにかく健人!落ち着いて……」



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