君じゃなきゃ。
「ほら!竹下先輩はやっぱ腹黒なんだよ。ちゃっかり俺の分だけ残して」
「きっちりしてるだけでしょ?」
レストランから駅に向かう帰り道、健人が隣でぶつぶつ小言を言ってる。
竹下先輩ってばやっぱりお茶目な人だ。
……なんだか、気持ちが軽くなった。
仕事で会う時、気まずくならなくて済みそう……。
本当、先輩上手なんだよね。
こういう気遣い。
……どうか、先輩にも「この人じゃなきゃ」っていう人が現れますように……。
見上げた夜空は、都会には珍しく星がいくつも輝いていた。