君じゃなきゃ。


タクシーを降りて部屋の前まで来て鍵を開けた健人があたしを見てきた。


「今日、加減できないかも」

「え……」


そんな熱い目で見られても……。


体中に火照りを感じながら立ちつくしていると、先に玄関へ足を進めた健人に腕を引っ張られる。



「さくら……」


ドアが閉まるのも待たず、きつく抱きしめられて耳元で甘く囁かれる。


火照った体が更に熱を持つ。



強く口づけをされて健人の熱が直に伝わる。


お互いの熱で、もう溶けてしまいそう……。



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