君じゃなきゃ。


「ぷっ」

「ん!?」


お腹の音に反応したかのように噴き出した笑いが聞こえて、時計から振り返って健人を見る。

健人はあたしとは逆の壁側を向いてはいるが、肩が小刻みに震えている。


「け、健人!起きてる!?」

「うっごめ……くふっ……」


こらえながら笑ってる。

いっそ盛大に笑ってくれた方が気持ち良いんだけど!


「もう!いつから起きてたのよ!」

「時計見て驚いたあたり」

「あ……あたし起しちゃった?」

「ううん……いい」


そう言って、あたしのベッドに置いている手を握って顔を摺り寄せてくる。


……やっぱり寝起きだから寝ぼけてる?



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