君じゃなきゃ。


その音に二人で小さく笑い合った。


「お腹すいたでしょ?」

「うん。俺の意思とは反してすいちゃってるみたい」

「健人の意思は?」

「飯よりさくらを食べたい!」


こんな恥ずかしいセリフを言えちゃうあたり、さすが健人だと思う。


「でも先に体の要求に答えなきゃね。ご飯食べたらどうする?どこか行く?」

「ん~……デザートにさくらを注文!!」


ベッドから体を起こした健人は右手をピンッと天井に向けて伸ばして注文を言ってきた。


「そんなぁ。せっかくの休みなのに?買い物とかドライブとか……」

「せっかくの休みだから……さくらとゆっくりしたいよ?」


せっかくの休みだから、ゆっくり……か。



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