君じゃなきゃ。


「でも僕、見つけちゃったかも」


そう明るく呟いた先輩は嬉しそうだった。


「え?何をですか?」

「……これじゃなきゃダメってこと」

「これじゃなきゃダメ……人じゃないんですか?」

「うん。仕事」


仕事?


首を傾げるあたしに先輩はさらに言葉を足してくれた。


「僕は仕事がなきゃダメみたい。仕事をして達成感得るのが今は一番楽しい」

「それって……恋人は仕事ってことですか?」

「今のところは……そうかな」


さっぱりと答えた先輩からは、本心を言っているようにしか思えなかった。


本当に仕事が好きなんだ……。

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