君じゃなきゃ。


塞がれた口の変わりに手で健人の背中をポンポン叩く。


でも発情しちゃってる健人には効かない様子。




……チンッ。


19階到着。




「ちぇっ! タイムアップだね」



パッとあたしから手を離した健人はお手上げといったポーズで悔しそうに笑ってみせる。



「何がタイムアップよ! いっつもいっつも~」


「はいはい、上へ参りま~す!」



健人はあたしを軽くなだめると、エレベーターの扉を閉じた。




「もう……!」




健人を乗せて浮上する箱を恨めしく思いながら、ため息と共に吐き捨てるように言った。




これが朝のお約束。



毎度毎度、朝から変な気分にされてます。
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