君じゃなきゃ。


あたしの性格を考えて謝ってくれたんだと思う。

たしかに与えられた仕事は完璧にこなしたいし、人に頼るのはあまり好きじゃない。


でも、目の前に仕事があったらやりたいと思うのも一緒だから。


「いいんです!すごく助かります!」

助かるのも本当だから。

あたしは顔の前で手のひらを大きく左右に振った。


「そう言ってもらえると進めたかいがあるよ。ところで相川さんは何しに会社に戻ってきたの?」

先輩はデスクに置いてあるコーヒーカップの中身を全て飲み干しながら聞いてきた。

「あっ!そうだった!あたし定期取りにきたんだった……」

「定期忘れたの?どこに?」

「更衣室です!ちょっと行ってきます!」


先輩がいたことに驚いて危うく本来の目的さえも忘れるところだった。

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