君じゃなきゃ。
そう思いながら二人で並んで会社の入口まで来たとき、健人の足が急に止まった。
「……健人?」
「さくら……夜の会社……一人で怖くなかった……?」
何かを確かめるような健人の瞳。
「え……あっ……うん、意外と平気だったよ?」
「電車も……一人だったんでしょ?」
「え……?」
「……そうでしょ?」
不安気で疑うような顔をして上目遣いであたしを見てくる。
もしかして……健人はあたしが先輩といたことを知ってるの……?!