満月鏡
儚い再会
空にはおおきな満月。


雲ひとつない、晴れ渡った空。湖に月灯りがさす――水面が神秘的な淡い色を映し、そして不思議なことが起こった。


少しずつそれはある姿を形づくり、そこには現れたのは…………



会いたくて。



会いたくて。



会いたくて、たまらなかった片割れ。



「やっとまた会えたね」



貴方は冷たい影だった。


ねぇ。


ねぇ。



伝えたい言葉は喉の奥からあふれてくるのに、声にならない。やっとやっと、会えたのに。



少女は鏡の中に映る少女――自分に、雫をひとつ落とす。

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