羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
私は先輩の身体をぐっと押すと、
「も、も、も、もう帰ります。お父さんも心配するし!」
と叫ぶ。でも先輩は抱きしめることを全く辞めてくれない。
そのままクスクス笑って、
「それは大丈夫、連絡した」
と言う。
「えぇ……いつの間に」
「みゆが途中で疲れて休憩したいって寝たでしょ。その間に、水とか朝食とか、追加のあれとか、買いに行ったときついでに電話しておいた」
「今、その買い物したものの解説いります⁉」
顔を真っ赤にして叫ぶと、先輩は楽しそうに笑った。
くそう、いじめっ子か。
泣きそうになっていると、先輩はしみじみと、
「すごいよねぇ、12年分の気持ちって。あんなに貪欲になるなんて思いもしなかった。学生時代もこんなことなかったのに。なんだか自分でも感動しちゃった」
「……」
(私はまた何の告白を聞かされているのだろう……)