羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 すると、先輩はコーヒーを淹れてくれていて、クロワッサンとサラダとともにテーブルに置いてくれる。

「あさごはん、食べていきな」
「……ありがとうございます」
 そのまま目線を朝食に固定して、いただきます、と食べ始めた。
 先輩の前に座ってることが、なんだかすごく気恥ずかしかいのはなぜだろう。

「お、おいしいです」
「うん、良かった」

 先輩は笑って向かいの席に座る。私は、そのまま下を向いて黙々と食べていた。


 先輩は私を安心させるためなのか、
「そういえば、みゆんちの庭って池あったの?」
と全然関係のない話題にしてくれる。

「あ、あれは昔一匹だけ鯉がいて」
「へぇ」
「でももういないです。だからもう水も入ってないですよ」
「そういえばそうだよね。ずっと不思議だったんだ」
「水のない大きなくぼみだから?」
「うん。刑事の家だから泥棒対策に落とし穴でも掘ってるのかと思ってた」
「なにそれ」

 思わず笑うと、先輩は安心したように笑った。

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