羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】


 結局その日はそのまま送ってもらって、家に入ると、ちょうど父が仕事に出るところだった。

 羽柴先輩は父の前に行くと、まっすぐ頭を下げ、
「娘さんを一晩お借りしてしまい、申し訳ありませんでした」
と言う。

 ちょ、ちょっと待って、なにそれ。
 なんだかそれはそれですっごく恥ずかしいんだけど……。


 私が困っていると、
「羽柴先生と一緒なら安心だと思ってるから」
 父はそんなことを言って笑う。

 安心じゃない。全然安心じゃない。
 そう言いたいけど、昨夜のこともあってそう言えない。

 私はまたいたたまれなくなって、もう部屋に行くから、とその場を後にした。



 そのとき、羽柴先輩が、みゆ、と声をかけてくる。
 振り向かずに、なんですか、と冷たく答えた。

「明日、予定ある?」
「明日は日曜なので一日家です! 洗濯も掃除もしたいし!」
「そう」

 そのまま私は部屋への廊下を歩く。
 でも、やっぱりまだ変な動きになっていて、それを隠すために懸命に堪えて歩いた。

 やだ、なんでこうなるの……? やっぱり恥ずかしくて泣きそう。

< 114 / 302 >

この作品をシェア

pagetop