羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
結局その日はそのまま送ってもらって、家に入ると、ちょうど父が仕事に出るところだった。
羽柴先輩は父の前に行くと、まっすぐ頭を下げ、
「娘さんを一晩お借りしてしまい、申し訳ありませんでした」
と言う。
ちょ、ちょっと待って、なにそれ。
なんだかそれはそれですっごく恥ずかしいんだけど……。
私が困っていると、
「羽柴先生と一緒なら安心だと思ってるから」
父はそんなことを言って笑う。
安心じゃない。全然安心じゃない。
そう言いたいけど、昨夜のこともあってそう言えない。
私はまたいたたまれなくなって、もう部屋に行くから、とその場を後にした。
そのとき、羽柴先輩が、みゆ、と声をかけてくる。
振り向かずに、なんですか、と冷たく答えた。
「明日、予定ある?」
「明日は日曜なので一日家です! 洗濯も掃除もしたいし!」
「そう」
そのまま私は部屋への廊下を歩く。
でも、やっぱりまだ変な動きになっていて、それを隠すために懸命に堪えて歩いた。
やだ、なんでこうなるの……? やっぱり恥ずかしくて泣きそう。