羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
「金曜の夜はみゆのハジメテもらえて嬉しくってさ。あれからみゆのことばっかり考えてたんだよ」
「もう、あの日のことは言わないでくださいよ。忘れようとしてたのに!」
その時、先輩の手が私の唇を撫でる。
「絶対に忘れちゃだめだよ」
どきりとして固まると、そのまま先輩の顔が近づいてくる。キスだ、と思って、私はその顔を思いっきり、ぐい、と押して反対方向へ向けた。
「白昼堂々セクハラしないでください! 訴えますよ!」
「その場合、もちろん俺がみゆの弁護をするけど、俺が相手っていったいどうすればいいか悩んじゃうね?」
「とりあえず、あの鯉を返品してきてください」
「また俺の愛を全身で受け取ってくれるなら」
「イヤです。ってか、そんなもの受け取りません!」
「でも、一昨日の夜は受け取ってくれたよね?」
耳元でささやかないでっ!
思わず耳を手でふさぐ。同時に、金曜の夜のことを思い出して、顔が真っ赤になるのを感じた。