羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
「参考までに聞きたいんだけど、みゆの思う『結婚するまでの普通の年月』って、どれくらいかかるの」
「え……普通だと最低2年は付き合って、婚約して半年後くらいに入籍? 子どもはその2年後とか」
「申し訳ないけど、2年は待てない。子どもはもっと」
きっぱりと先輩は言う。
「えぇ……」
なんでよ。そう言おうとしたとき、先輩は私をまっすぐ見つめて、
「みゆが他のだれかのものになったら嫌だから。自分のものだって、証が欲しいんだ」
ときっぱりと言う。その言葉に心臓の音が速くなる。
私は泣きそうになりながら、
「そもそもこれまで誰とも付き合ってないですし。私、先輩と違ってモテないですよ! だから心配する必要なんてないし、急がなくても……!」
最後の言葉は先輩の唇にふさがれた。
長いキスのあと、名残惜しそうに先輩の唇が離れる。
「ちょ! な、なんですか……突然!」
「だから心配だなぁって思っただけ」
よくわからないけど、ケンカ売られてます?
私があぁん? というように先輩を睨むと、
「そういうとこだよ」
と先輩は苦笑して、私の頭をまるで子どもをあやすみたいに優しく撫でた。