羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】


 私は唇を噛むと、
「部長呼んできます。先に入っていてください」
と言うと、踵を返す。


 なんだかもやもやとする。さっき、二人の並ぶ様子を見て、心底、『お似合いな二人』というのはこういう事を言うのだろう、となんとなく思ってしまっていたのだ。見た目も、大人の余裕も、家柄もすべて似合っている。

 そんなことを思っていると、ちょうどこちらにやってきていたらしい宮坂さんが、それを見ていたのか、
「さっきの秘書課の春野でしょ。狙ってんの見え見えだっての」
と吐き捨てるように言った。

(ね、狙ってるって……)

 泣きそうになると、宮坂さんは、あきれたように息を吐く。
「大丈夫だから。自信持ちなさい」
 そう言われても、私に自信なんてあるはずもなかった。


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