羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
みんなが会議室を出た後、最後の片づけをしていたら、「ちょっとだけいい?」
と先輩に手を掴まれた。
振り返ると同時に、軽く唇にキスを落とされる。慌てて周りを見回すと、誰もいなくてほっとした。
「な、な……! ちょ、ここ会社! こういうのやめてください!」
慌てる私に、
「油断してるからだよ」
と先輩は笑う。その声にむぅと、頬を膨らませた。
そして先輩は私の持っていたファイルをひょいと手に取ると、
「いつでも入ってていいから」
と言ってファイルをまた私の手の中に戻す。
「どういう意味……」
聞きかけたその時、ちょうど春野さんが来て、私は慌てて会議室を後にした。