羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
「みゆ? どうしたの?」
「ごめんなさい、今日仕事はやいんだった。もう行かなきゃ。着替えるから出て行ってください」
そう言って先輩を部屋から押し出す。
準備をして部屋から出ると、先輩はまだそこにいた。
「送る」
「いらないです」
「でも……」
「いらない!」
思わず恥ずかしいくらい叫んでいた。
なにこれ。自分で気持ちのコントロールが効かない。訳が分からない。泣きそうになった。
その時、先輩が私の手を掴む。
そして父に、すみません行ってきます、と言うと、自分の車の助手席のドアを開けて、私を押し込むようにそこに乗せた。
そして、有無を言わさない声で、
「ほら、シートベルトもして」
「ちょ、なんなんですか! いつもひくくせに!」
そう、いつも私が嫌って言ったとき、先輩は引いてくれていた。
こういう場面で強引にこんなことされたことない。だから私は完全に戸惑っていた。