羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
部屋に入ると、副社長が申し訳なさそうに眉を下げ、頭をまっすぐと下に下げる。
「ごめん、僕のせいだ」
「イヤ、それは違います!」
それは絶対に違う。社長が言ったことがホントだったとして、副社長が謝ることじゃない。なのに副社長は心底申し訳なさそうに頭を下げたままだった。
「お願いですから顔を上げてください」
私が言うと、副社長は、でも、と呟き、
「僕もね、あれだけずっと健人が好きだった人と結ばれて、もし子どもができて、その子が僕の跡を継いでくれるなら、僕に子どもができなくても良いかなぁって思っちゃったんだ」
とはっきりと言う。
私はあまり副社長のこと知っているわけじゃないけど、前に話した時とか、先輩の話とかも合わせても、副社長は悪い人には思えない。むしろ……絶対にいい人だ。
私もできることなら、この人の力になれればいいのに、とは思う。でも子どものことは……今言われてもどうすることもしてあげられないのだ。