羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 それから、三人で食事をして、私が好きそうなものがあれば副社長は『これも食べなよ』とくれたりした。副社長は、やっぱりお兄さんなんだなぁ、と考える。私は一人っ子だし、兄という存在がいるのがうらやましくはある。

 そうか、先輩と結婚したら、副社長が兄になるのか。
 それは嬉しい。食べ物で懐柔されている気がしないでもないけど……。


 そんなことを考えていると、
「一樹は昔からなんでも譲る癖があったよな」
と先輩が言う。

「まぁ、僕は特別欲しいものってないからね」

 その時、思ったことは、副社長はやっぱりいいお兄さんで、いい人だってこと。
 そしてそんな風に言う副社長のことを、先輩がちょっと寂しそうに見てるってことだ。

(きっと先輩は、副社長のためにも、早く結婚して子どもが欲しいって思ってるんだろうな……)

 そんな先輩の気持ちに気づいて、それがやけに自分の胸を締め付けた。

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