羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
でももう一つ不思議なことがある。
「じゃ、なんで今言ったの?」
これだ。
なんで今、教えてくれたんだろう。
「ん? その話にはもう一つ続きあってね。『みゆがずっと一緒にいたいと思えるような、大事な人をみつけるまでは』って決めてたんだ」
「大事な人?」
「うん」
父は頷くと、羽柴先輩の方を見る。
私はそれを見て、
「ま、まさか羽柴先輩のこと⁉」
「え、ちがうの?」
父はきょとんと私の方を見る。
でも、それは、確信を持った目で……。
「……ちが……わなくないけど」
私はつぶやく。
父にまでこんなこと知られて恥ずかしいやら、複雑な気持ちだった。
でも……それを否定するだけのものは私にはない。だって実際にそうなってる。
すると、先輩はするりと私の手を握った。
「みゆさんのことは、お任せください」
「お願いするよ」
それがまるで、結婚式に花嫁をお願いする父のようだと、そんなことが頭によぎった。