羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】


 たしかに、先輩との生活にもずいぶん慣れた。
 先輩が帰ってくる気配まで感じるようになったのだ。

「おかえりなさい」
「ただいま」

 玄関で先輩を迎えると、帰ってきた先輩は必ずと言っていいほど、私を見て目を細める。

「なんですか……?」
「やっぱりみゆが迎えてくれるのって最高だなぁって思っただけ」

 そして絶対にそういうことを言うのだ。
 先輩は私をそのまま抱きしめると、仕事に行く前もしたくせにそのままキスを交わす。

 ちゅ、ちゅ、と軽いキスのあと、唇が離れて、それが少し名残惜しくなっていると、絶対に次に濃いキスが振ってくる。

「みゆ……大好き」

 そのまま手が背中に入って優しく撫でて、唇が耳朶に落ちたと思ったら甘噛みされる。その熱に浮かされそうになると、私は慌てて意識を引き戻した。

「あ、の……先輩! 今日こそ先にご飯たべませんか!」
「うーん……そうだねぇ……」

 そう言いつつ、先輩はそのままキスを首筋に落とす。
 私が先輩を押すと、先輩はその手も掴んでそこにまたキスを落とした。

「わかったよ。そうだね。ここ連日、先にいろいろしちゃって、ご飯のタイミング逃してたもんね」

 そう言われて、頬にキスをされると、そのまま先輩が離れた。

(ちょ、そんな、あからさまなこと言わないでよぅ……!)

 本当のことだけど、はっきり言われるとやはり恥ずかしい。別に誰も聞いてないんだけど。
 しかもこの先輩はなかなかの性悪で、私が恥ずかしがれば恥ずかしがるほど、そういう事を言う事に最近、私も気づいた。

< 238 / 302 >

この作品をシェア

pagetop