羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
たしかに、先輩との生活にもずいぶん慣れた。
先輩が帰ってくる気配まで感じるようになったのだ。
「おかえりなさい」
「ただいま」
玄関で先輩を迎えると、帰ってきた先輩は必ずと言っていいほど、私を見て目を細める。
「なんですか……?」
「やっぱりみゆが迎えてくれるのって最高だなぁって思っただけ」
そして絶対にそういうことを言うのだ。
先輩は私をそのまま抱きしめると、仕事に行く前もしたくせにそのままキスを交わす。
ちゅ、ちゅ、と軽いキスのあと、唇が離れて、それが少し名残惜しくなっていると、絶対に次に濃いキスが振ってくる。
「みゆ……大好き」
そのまま手が背中に入って優しく撫でて、唇が耳朶に落ちたと思ったら甘噛みされる。その熱に浮かされそうになると、私は慌てて意識を引き戻した。
「あ、の……先輩! 今日こそ先にご飯たべませんか!」
「うーん……そうだねぇ……」
そう言いつつ、先輩はそのままキスを首筋に落とす。
私が先輩を押すと、先輩はその手も掴んでそこにまたキスを落とした。
「わかったよ。そうだね。ここ連日、先にいろいろしちゃって、ご飯のタイミング逃してたもんね」
そう言われて、頬にキスをされると、そのまま先輩が離れた。
(ちょ、そんな、あからさまなこと言わないでよぅ……!)
本当のことだけど、はっきり言われるとやはり恥ずかしい。別に誰も聞いてないんだけど。
しかもこの先輩はなかなかの性悪で、私が恥ずかしがれば恥ずかしがるほど、そういう事を言う事に最近、私も気づいた。