羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

「私と先輩が知り合いだって、みんなには言わないでください。部長も配慮してくれてて」
「なんで?」

 羽柴先輩は心底不思議そうに首を傾げた。

「先輩が相変わらずおモテになるからですよっ」
「関係ないでしょ」
「私には関係あるんです!」

 私は小声で精いっぱい叫んで続ける。「とにかくあのことはもう償いました。だから私と先輩は、もうただの先輩後輩の関係です。それをわざわざ他人にまでひけらかす理由もないですよね」

「ふうん、そういうこと言うんだ。キスまでした仲なのに」
「だからそれはあの時のこと償え、って先輩が言ったからしたんですよね! 仕方なく!」
「全然良くなかった? あれから思い出しもしなかったんだ?」

 そう言われて一瞬言葉に詰まる。
 素直に、何度も思い出していました、とは言えない。

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