羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
「今はさすがに……みゆも怖がってるし、きっとみゆ自身に罪悪感もある。だからここに顔も出せないんだと思う」
「はい。当たり前です……俺はそれだけのことを彼女にしようとしたんですから」
俺は頷いた。そんな俺にまっすぐみゆの父親は問う。
「そんなことをしようとしたのは、君がみゆに少なからず好意を抱いていたからだろう? ああやって毎日送ってきてくれて、タイミングなんていくらでもあっただろうに」
「……」
好意はもちろんあった。
彼女といると彼女をもっと知りたいと思ったのは確かだ。縮まらない距離に焦っていたのかもしれない。本心から頷いていた。
「好きです」
その時になって急に気付かされた。
入院してからずっと、いや、それより前からかもしれないけど、みゆのことばかり考えているのだ。
考えてみれば、あの時までも自分はちょっとおかしかった。みゆのことが、好きすぎたのかもしれない。