羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
―――そしてあれから数か月。
玄関チャイムが鳴って、我が家にやってきたのは、副社長、こと、一樹さんだ。
最近出張さえなければ、休みの日はよくうちに顔を出してくれる。
「飛行機が遅れて、遅くなっちゃった。これ、お土産」
一樹さんは、そう言ってテーブルの上に重そうなお土産の箱をおいてくれる。
「ありがとうございます。今回どこ行ってたんですっけ?」
「モンゴル」
「……モンゴル」
なんだか嫌な予感がする。そう思いながら、その箱に手をかけた。
開けてみると、50cmくらいの金ぴかの熊の像(多分純金だ)が入っていたのだ。
「って、これなんですか!」
「現地で熊の足がお守りになるって聞いたから。とりあえず一番効果ありそうな金の熊を買ってみた」
「金の熊って! この兄弟のプレゼントセンスどうなってんの……⁉」
ニコニコする一樹さんに断るわけにもいかず、ありがとうございます、と小さく告げて、その熊を触ってみる。
モンゴルからはるばるいらっしゃい、お疲れさまです、と心の中で熊に話しかけた。もちろん熊からの返事はない。心なしかこんな異郷の地に連れられてきて、熊は不機嫌にも見えなくなかった。