羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
父のやっぱり甘い卵焼きと、白米・納豆とともに朝食を食べ、残りのご飯は2つのお弁当箱に昨日のおかずとともに詰め込む。それでも残った分はラップに包んで冷凍庫に放り込んだ。これもまたいつも通り。
「みゆ。パパ、今日から数日は遅くなるから、気をつけてよ。戸締りもちゃんと……」
「大丈夫だって。いってきます」
「いってらっしゃい」
父に見送られ、6時40分のバスに乗って、30分揺られてから電車に乗りかえる。満員なのに、いつもと同じ顔ぶれが並ぶ車内は、窮屈だけど、どこか安心する。
電車は重そうに人々を乗せて、毎日同じようにそれぞれの目的地に運んでいた。
毎日同じことの繰り返し。
それってつまらないよね、と、いうように同期は少しずつ、ただ、確実に辞めていった。でも私は辞めなかった。つまらない日常だからと、それを辞める必要なんてない。
こういう平和で平凡な日常が大事なのだと、事故や事件にかかわる父は昔から口酸っぱくして言っていた。私もそれはそう思う。全面的に同意だ。