羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
4章:あの事件ととんでもない告白
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―――私が高校一年だった時。
「つぎー! 羽柴―!」
陸上部の先生の声が響いて、私は顔を上げずにその声を聞く。
羽柴とは、羽柴健人先輩のこと。
私の二個上で高校三年生の陸上部の先輩で、陸上部の部長だ。
同じクラスで、部活も一緒の友人が私の肩を叩いた。
「ねぇ、みゆ! 羽柴先輩が走るよ!」
「あぁ、うん」
できるだけ興味なさそうに返事をしてストレッチをやめて立ち上がる。すると女の先輩の目線がチラリと私の方を向いた。
もうすでに、現時点で、私に対する風当たりは強い。
それは、私が中学からもともと陸上部に所属していて、他の人より少し足が速いってことと、そして、もう一つ大きな要因は、みんなの王子様と帰り道が一緒ってことだ……。