羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
その日、会社に行ってみると、私の平凡な毎日は一変していた。
「ちょ、みゆ! 大変!」
会社に着いたとたん、同期入社で、大学からの友人である深山成美が走ってきた。成美はおっとりしているので一緒にいて心地いいし癒される。
その成美が慌てているので、その様子に嫌な予感だけはする。
カバンも置けないでいるまま、どうしたの、と問うと、
「うち、なくなるらしいよ!」
と成美は続けた。
「まさか倒産⁉」
たしかに業績はゆっくりと右肩下がりだった。総務は経理も行うからこそ知っている。
でも、つぶれるほど悪かったかと言えば、そんな風にも見えなかった。
どこの飲料メーカーもなかなかヒットを飛ばせない中、ある乳酸菌飲料の新商品の売り上げが伸びてきていたからだ。
「それが……倒産ではないみたい」