羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 そう思って泣きそうになっていると、

「そうだ、今度の土曜、久々に映画でも行かないか? ほら、みゆの見たがってた映画、はじまるだろう。でも一人じゃいきづらいって言ってたしさ」
と言う。

「でも親子二人ってそれはそれでちょっと恥ずかしくない?」
「たまにはいいだろ。ほら、その前にママの墓参りも行こう」
「……ウン」

 私はふとカレンダーに目を向ける。……そうか。
 もうすぐママの命日だ。

 毎年ママの命日には、お墓参りをして、二人で何か楽しいことをしたり、おいしいものを食べたりすることになっている。それは今まで崩さなかった。

「チケットとっとく。あと、お迎え、来てるよ」
「迎え?」

 だから早く着替えておいでよ、と珍しくそんなことを言って、父は部屋を出て行った。
 なんだか嫌な予感だけはしっかりしつつ、でも逃げるわけにもいかないだろうと素早く着替えてリビングに行く。

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