羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
―――次の土曜。私と父は母のお墓の前にいた。
もともと先祖代々のお墓もあったが、父が自宅から一番近い墓地に母のお墓を作った。
いつでもママに話しかけに行けるようにって……。
私たちはいつも通りお墓をきれいにして、花を手向け、線香をあげた。
私は手を合わせて、ママに話しかける。
「ママ……」
ねぇ、ママはなんでお父さんと結婚したの? なにか運命じみたことを感じたの?
でもさ、少なくとも、『自分にしか反応しない』なんて変な理由じゃなかったんでしょう?
そう問うてもママはもう答えてくれない。
顔を上げると、父はまだお墓に向かって手を合わせていて、たくさん何か話しかけているのだろうと思った。