羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 そんなことを考えて押し黙ると、先輩は話し出した。

「この前はごめんね。突然あんなこと言われても困ったよね」

『あんなこと』とは、私にしか反応しないってことだろう。
「……いえ」
 私は思わずつぶやく。だって、どう返事していいのか、今でも全く分からないのだ。


「でもね、俺がみゆと結婚したいって言ったのは、身体が反応するからっていう理由だけじゃないからね」

 先輩がそう言い、驚いて先輩を見上げると、先輩はこちらをじっと見つめていた。


「俺はみゆとしか、愛し合いたいと思わないんだよ」

 その言葉に、私は息が止まる。「だから、身体まで素直にそう反応してるだけなんだと思うんだ……。みゆのためなら俺は全部みゆに捧げられる」


 私は先ほどの父の言葉を思い出していた。
 父も、ママとしか愛し合いたいって思わない、って言ってた。私はそんな父と母に憧れた。

 この先輩の変な愛情は、
 私の憧れた……父と母のような愛情と同じなの……?


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