羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 先輩の手に力が入る。先輩の手は私の手より熱かった。

「みゆ。このまま、手、握っててもいい?」
「……」

 そんなの、答えられるはずない。私だって、答えが分からないんだから……。
 そんな風に思っていると、

「答えないと、このまま手を離さないよ」
と先輩は言う。

 私は泣きそうになりながらそのまま下を向いた。
 それだけなのに、先輩は嬉しそうに笑うと、

「ありがとう、みゆ」

と、また強く、大事そうに、私の手を握り締めた。


< 82 / 302 >

この作品をシェア

pagetop