羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
先輩の手に力が入る。先輩の手は私の手より熱かった。
「みゆ。このまま、手、握っててもいい?」
「……」
そんなの、答えられるはずない。私だって、答えが分からないんだから……。
そんな風に思っていると、
「答えないと、このまま手を離さないよ」
と先輩は言う。
私は泣きそうになりながらそのまま下を向いた。
それだけなのに、先輩は嬉しそうに笑うと、
「ありがとう、みゆ」
と、また強く、大事そうに、私の手を握り締めた。