羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

「こちら、新田先生。これから一緒に組んで、ホウオウ担当してもらうことになったからご挨拶に伺ったんだ。最近ホウオウの業務も増えてきたからね。ほら宮坂さんがやってる藤堂商事の仕事一緒にしてもらうよ」

 そう言うと、新田先生と呼ばれた男性が頭を下げる。
「新田秀一です。よろしくお願いします」

 透き通るような栗色の髪、綺麗な肌、くろめがちな目。まるでどこかのアイドルみたい……。宮坂さんも挨拶してから、新田先生をじっと見つめていた。

「こちらこそ、よろしくお願いします。宮坂翠と申します」
「ミドリさんって言うんだ。どんな漢字ですか?」
「翡翠のスイで、翠です」
「イメージぴったりですね」

 楽しそうに新田先生が笑う。宮坂さんが一瞬で顔を赤くした。
 新田先生、どうやら天然の人たらしらしい。


「部長いる? ご連絡してたんだけど」
 先輩にそう言われて、私は部長の席をみる。先ほどまでいたと思ったが、今ちょうど席空きだ。

「会議ではなかったと思うので探してきます」
 私が言うと、宮坂さんが
「柊さん、ついでに会議室予約もしてきて。たぶん部長忘れてるから」
「はい」
 さすが宮坂さんだ。何でも気が付いてくれる。確かに忘れているだろう。

 私は速足でPCまで行くと今開いている会議室を予約し、それを宮坂さんに伝えると先に会議室に案内してもらい、その隙に部長を探すことに決めた。
 探してみると、急な電話のようで、部長は申し訳なさそうに5分だけ遅れると伝えてほしいと言った。

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