まだ、青く。
「伝えてほしい」


溢れた思いが言葉になった。


「伝えないで終わるより、ちゃんと伝えて散った方が良いと思います。

花は散る運命を抱えていても咲きます。だから、一瞬でもその思いを咲かせてほしいです。

たとえ散っても咲いた花がキレイだったことは私が覚えています。

向日葵のように真っ直ぐな兆くんの思い、私だけじゃなく、千先輩にもきちんと伝えてください」

「鈴のすけ......。鈴のすけ~!」


兆くんはまるで幼稚園児のようにギャーギャー泣きわめいた。

私はただ何もせず、隣に座ってその背中を擦っていた。

想いが溢れて涙という形になって、

伝えたいという想いへと変わる。

巡りめぐっても想いは褪せない。

変わらない。

だから、伝えるんだ。


「兆くん、ファイトです」

「ぐずっ...ぐずっ...」


兆くんが泣き止むまでに、壁にかかった古い時計の針は1周してしまったのだった。

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