まだ、青く。
「お母さん...!」


私は財布とスマホだけを入れたバッグを持って家を飛び出した。

時刻は午後11時半。

こんな時間にどこに向かって走るのだろう。

意味が分からない。

分からない。

分からない...。

分からない...!

分からない...!!

けど、

でも、

1歩でも産みの母に近づきたくて

ただ会いたくて

私はひたすらに走った。


「お母さんっ!お母さん...!」


胸の奥でくすぶっていた感情が爆発した。

きっと私は

ずっと私は

自分を探して

その起源となる母を探して

さまよって

ふらふらと歩いて来てしまったんだ。

本当はすごく単純なことだったんだ。

私は私じゃなかった。

ここにいる私は偽りだったんだ...。


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