まだ、青く。
電車を乗り継いで私は新宿にある高速バスターミナルまでやって来た。

ここで待ち合わせている人が2名ほどいる。


――コツコツコツコツ...。


私に近づいてくるその音とリズムで察しがついた。


――ガラガラガラガラ...。


きっとたくさんお洋服を詰め込んでスーツケースはパンパンになってるのだろう。

私は懐かしさと再会出来る嬉しさで笑みを溢しながら振り返った。


「ヤッホー、鈴ちゃん!あ、じゃなくて、天ちゃんか」


戸籍上の名前が流川天だと発覚してからは、"流川さん"とか"天ちゃん"と呼ぶようにしてもらった。

もちろん夏目鈴という名前も素敵で、約16年間その名で生きてきたから、それを使わなくなるのは名残惜しかったし、育ての両親にも申し訳ない気持ちにもなった。

だけど、私は新しい自分を迎えるためにも、もう1度初めから生まれ変わった気持ちで生きていきたいと強く願い、流川天として生きていくことを決意した。

でも、"鈴ちゃん"と呼ぶ時期の方が長かった人はたまに間違えてしまう。


「どっちでもいいですよ、千先輩」


そう。

千先輩みたいに...。

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