まだ、青く。
私の言葉は凪くんの手を動かした。

繋いでいた手がほどかれ、小指が私の目の前に現れる。


「約束しよう。どんなに離れていても、心はずっとお互いの1番近くに在り続けることを。俺は...これからもずっと、ずっとずっと天の心に寄り添っていたい。天と一緒に生きていきたい」


その温かくも優しく、凪くんの固い意思が宿った言葉に視界がぐらつき、海が歪んで見えた。

泣いてもいい。

けど、笑おう。

私の笑顔で凪くんを笑顔にしたいから。

これからも一緒に歩いていく凪くんに笑顔でいてほしいから。

私はつんとする鼻をこすって、夜空を見上げてから、凪くんよりも短くて細い小指をピンと立てた。


「私はずっと凪くんの心のよすがになります。...約束します」


私は凪くんの小指に自分の小指を絡めた。

私の指は冷たくて

凪くんの指は暖かかった。

指切りをした後、凪くんの手は私の頬に触れた。

私は何かを感じ取って、静かに目を閉じた。

優しい風が吹いた次の瞬間...

私の唇に、目を開けていたらその光で目が眩むくらいに煌めく星が落下した。

瞼の裏に瑠璃色の宇宙が広がり、

心には温かな淡い光が射し込み、

熱を宿した。

星が瞬いて、

月が笑って、

風が通って、

水面が揺らめいて、

波が寄せては返す。


空の向こうの宇宙のように大きく、

鮮やかで目映い希望をいっぱいに詰め込んだ私の心は、

確かに私のものになり、

"幸せ"を全身で感じていた。

この心に宿った想いや感情、その全てが永久に朽ちないようにと願い、

瞳の向こうの目映い凪の海に

溺れていった。

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