まだ、青く。
2日後の夕暮れ時。

東京から昊お母さんが急いで駆けつけ、夏目家に姿を現した。


「汐莉っ...」

「昊っ!」


私の2人の母が20年ぶりの再会を果たした。


「汐莉、今までワタシの分まで厳しくも優しく天を育ててくれて...本当に、本当に本当にありがとう」

「ワタシこそ、こんな素敵な子の母親にしてくれてありがとう。昊が遠くから愛情を注いでくれていたから、ワタシは母親として天をここまで育てることが出来たの。昊、ありがとう...」


幼なじみで親友だった2人。

その2人を繋いだのは、紛れもなく、私。

2人の母に愛情を注いでもらって育った私は、きっと誰よりも心が大きく広くなったと思う。

昊お母さんがくれた、名前のように。

そして、これからも私は2人の愛情と思いを受け止めて生きていくんだ。

私が2人をこれからも繋いで、その縁が切れないようにしっかりと結んでいく。

それが娘としての私の役目だと思う。


「昊お母さん、汐莉お母さん...」


2人に伝えよう。

今までの分も全てひっくるめて

私の心に生まれた

この温かく優しい気持ちを。

この固く強い思いを。

今、言葉にしよう。


< 306 / 310 >

この作品をシェア

pagetop