まだ、青く。
「いやぁ、しっかし、あっち~な」

「今年の夏は冷夏と言っていましたが、それは都心の方だけでしょう。田舎には関係無さそうですね」

「だな~」


体力のない2人はちょっと校内を歩いただけでヘロヘロになり、気がついた時には体育館脇の自販機の前に来ていた。


「鈴のすけ、何飲む?オレ奢るわ」

「ありがとうございます」

「その代わりさ、お願いがある」

「はい。何でしょう?」


私はご当地レモンサイダーを指差した。

へいへいと慣れた手付きで兆くんはボタンを押す。


――ガコンっ!


ペットボトルが勢い良く落ちた。


「へい」

「どうもです」


ぺこっと頭を下げると兆くんはふふ~んと気の抜けたような笑みを浮かべた。

笑っているようで、笑っていない。

それはきっと

......千先輩がいないから。


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