ややぽちゃ姫と3人の王子様
「あのさ望愛……」
穏やかな声にはっと我に。
ベランダの柵によりかかるむち君に目を向ける。
「明日さ、アメと3人でジョーのとこに行かないか?」
「えっ?」
「アメの奴、最近おかしいんだ。オマエの顔見たら、元に戻りそうだしさ」
テレ屋のむち君が、他人を心配する発言をするなんて……
滅多にないことで、一緒に行くって答えたくなったけれど……
「むち君、ごめん……」
私はもう、むち君と雨くんに寄りかかるのは止めるって決めたんだ。
それに……
「大地君がお兄ちゃんに挨拶したいって言うから、一緒に行く約束をしてて」
「あっそ」
「なんかごめんね」
「どうでもいい他人に、謝ったりするな」
むち君はぶっきらぼうな声をこぼすと
「シャトル拾っておけよ」
私の顔すら見ずに、自分の部屋に入って行った。