ややぽちゃ姫と3人の王子様



 望愛はなんて答えるのだろう?


 涙をこらえて『言われたい言葉なんかないよ』って、強がりをこぼすはず。

 僕が赤ちゃんの頃から見てきた望愛なら、きっとそう言う。


 確信をもっていたのに……


『お兄ちゃんに言われたい……いいよって……』


 望愛は苦しそうな声で自分の想いを言葉にした。



『私が家を追い出しちゃったこと。私のお兄ちゃんをやめて、帰ってこないでって
 叫んじゃったこと、許して欲しい……』



 望愛の涙声が、身を潜める僕らのところにまで震え届く。

 僕の涙腺は耐えきれない。

 僕の瞳から悔しさの雫が流れ、線のように流れ続け、自分を責めずにいられない。

< 113 / 217 >

この作品をシェア

pagetop