ややぽちゃ姫と3人の王子様




「望愛がジョーのことで泣いたの、初めてだな……」

 
 放心状態のムッチーの驚き声が僕の真上から降ってきて、滝のように流れる僕の涙を止めた。



 僕は何を情けなく泣いてるの?

 涙をこぼしている場合じゃない。

 大地君に嫉妬してる場合でもないよね?



 望愛がつらいときは、僕が望愛の涙を拭いてあげるんだ。



 今すぐ望愛の所に行って……

 思いっきりぎゅーって抱きしめて……




 突然襲われた使命感。

 望愛のもとへ走らなきゃとしゃがんだまま地面に両手をついたのに、僕は立ち上がることができなくなってしまった。

 ムッチーが弱弱しい諦め声を震わせたから。


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