ややぽちゃ姫と3人の王子様


 その時、エプロンのポケットに入れっぱなしのスマホが震えた。

 画面には僕の心を惑わす根源

鞭光 翔(むちみつ しょう)』の文字が。


 無視したい。

 でもバイブの音は望愛にも聞こえているはず。

 何事もなかったように取りつくろおう。

 僕はなんとか微笑んで、スマホを耳に当てた。


「もしもし、ムッチー?」


 ん?
 
 まさかの無言電話?


「あれ? 僕の声聞こえてる?」


「アメ…………ごめん…………」


「えっ?」



 子供の頃から謝罪を知らない、俺様悪魔王子なのに……


 ムッチーが、ごめんって……



 あまりの衝撃に、見開いたままの僕の目が閉じようとしてくれない。

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