ややぽちゃ姫と3人の王子様

 
「望愛、リボンが曲がってるよ。僕が直してあげる」


『ズルい~』と、唇を突き出すお姉さま方に

『後でみんなのも直してあげるから』

 甘いウインクを飛ばした雨ちゃん。


 頼んでもいないのにな。

 雨ちゃんは私の胸の中央にあるリボンをほどき、真剣な顔で結び始めた。


 雨ちゃんの綺麗な顔が私のすぐ真上にあるのに、全くドキドキしない。

 こんなこと今までなかった。



「雨ちゃんって、誰にでも優しいんだね」


「望愛の好きな、童話の王子様っぽいでしょ?」



 私の好きな王子様かぁ。

 
 誰とも恋をしちゃいけない。

 お兄ちゃんを死に追いやった私が背負う罪だって、わかってはいるけれど……

 やっぱり私は、自分だけ見てくれる一途な人がいいな。

 
< 52 / 217 >

この作品をシェア

pagetop