ややぽちゃ姫と3人の王子様
「望愛、リボンが曲がってるよ。僕が直してあげる」
『ズルい~』と、唇を突き出すお姉さま方に
『後でみんなのも直してあげるから』
甘いウインクを飛ばした雨ちゃん。
頼んでもいないのにな。
雨ちゃんは私の胸の中央にあるリボンをほどき、真剣な顔で結び始めた。
雨ちゃんの綺麗な顔が私のすぐ真上にあるのに、全くドキドキしない。
こんなこと今までなかった。
「雨ちゃんって、誰にでも優しいんだね」
「望愛の好きな、童話の王子様っぽいでしょ?」
私の好きな王子様かぁ。
誰とも恋をしちゃいけない。
お兄ちゃんを死に追いやった私が背負う罪だって、わかってはいるけれど……
やっぱり私は、自分だけ見てくれる一途な人がいいな。