ややぽちゃ姫と3人の王子様



「僕はみんな平等に優しさを振りまける王子様を目指してるんだ。どう? 僕にキュンってなった?」


「雨ちゃんみたいに誰にでも優しい王子様が、この世にいたら……」


「望愛は惚れちゃう?」


「私は絶対に好きにならないな」


「…………えっ?」


 リボンを結んでいた雨ちゃんの手が止まった。

 覗き込むと、顔面が青白いまま固まっている。


「……雨……ちゃん?」


 我に返った雨ちゃんは腕時計を見て

「新入生の受付が始まったんじゃない?」と、微笑んでくれたけれど


「行くね」


 微笑み返した私を瞳に映すことなく、雨ちゃんはお姉さま方と去っていってしまいました。


 
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