ややぽちゃ姫と3人の王子様



「アメが作る朝ごはんも、これからは食べないのか?」


「……うん」


「ダイエットするって決めたろ? 朝マラソンくらい俺が付き合って……」


「だからもう、私は二人から卒業するって決めたんだから!!」



 むち君の声は、滅多に聞けないくらい優しく響いていた。

 それなのに私は、怒鳴りつけるように声を張り上げてしまった。



「あっ、そ」


 壁に突いていた手の平をひっこめた、むち君。

 私に愛想をつかしたように、深いため息を苦しそうに吐き続けている。



 なんで私、むち君を拒絶するように怒鳴っちゃったんだろう。

 そんな後悔が生まれたのは、自分の部屋に戻ってからで。

 この時の私は、壁とむち君に挟まれた状況から逃げ出すことに必死。


「帰る!」


 涙声をぶつけながら、むち君の前から走り去った。







< 82 / 217 >

この作品をシェア

pagetop