ややぽちゃ姫と3人の王子様
「アメが作る朝ごはんも、これからは食べないのか?」
「……うん」
「ダイエットするって決めたろ? 朝マラソンくらい俺が付き合って……」
「だからもう、私は二人から卒業するって決めたんだから!!」
むち君の声は、滅多に聞けないくらい優しく響いていた。
それなのに私は、怒鳴りつけるように声を張り上げてしまった。
「あっ、そ」
壁に突いていた手の平をひっこめた、むち君。
私に愛想をつかしたように、深いため息を苦しそうに吐き続けている。
なんで私、むち君を拒絶するように怒鳴っちゃったんだろう。
そんな後悔が生まれたのは、自分の部屋に戻ってからで。
この時の私は、壁とむち君に挟まれた状況から逃げ出すことに必死。
「帰る!」
涙声をぶつけながら、むち君の前から走り去った。