ややぽちゃ姫と3人の王子様


 その日は昼までには帰るって母さんに伝えて、近所をブラブラしてたのに。

 案の定、家までの道がわからなくなった俺。


 諦めモード。

 わからないものはわからない。

 公園のドーム型滑り台の下にあるトンネルの中で、情けなく縮こまっていると


『わぁ~、むち君だぁ~』


 トンネルを覗き込んできたのは、隣の家に住む二つ下の望愛だった。



 道に迷ったなんて誰にも知られたくなくて

 でも家には帰りたくて


「暗くなる前に家まで帰るぞ! おい奴隷、俺の前を歩け!」


 酷い言葉を怒鳴るように言い放ち、望愛の後ろをついていったおかげで家まで帰れたんだけど……

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