瀬川くんのジャージ


椅子に座る前に、控えめに手を出してきた涼くんにもハイタッチをする。

「手ちっちゃ。よくこれであんなに投げられるね」

私の手をまじまじと見ると、褒めてるのか、バカにしてるのか。
ふ、と軽く笑うと投げに行ってしまった。

現時点のスコアを確認すると、1位が涼くん、2位が私、3位が爽くんで。
残念ながら、ガーターばかりになってしまって最下位なのがすみれちゃん。


…なるほど、球技苦手とは。
これもそういうことなのね、と納得する。


というか、ボウリングなら今日だって調子いいし、絶対1位だと思ったら、涼くんのほうが上で悔しい。

だけど…。


バーン!!!とまた鮮やかな音が聞こえ、小さくガッツポーズをする後ろ姿に。



…格好いいと思ってしまっている自分もいる。

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