瀬川くんのジャージ
ふたりが戻ったところで、私はずっと聞けていなかった疑問を涼くんに聞く。
「…入学式の雨の日に、ジャージを貸してくれたのは…爽くんだよね?
でも、爽くんに聞いたら、半分正解って言われたの。
もう半分の答え知ってるよね?」
私の問いに、涼くんは回していた手を緩め、向かい合って座る。
照れたように目を目を剃らしながら、呟くように答える。
「…渡したのは、爽。
でも、ジャージは俺の。
ずっと好きだった子がびしょびしょに濡れてて。
ジャージ貸そうと思ったけど、話しかける心の準備してなくて。
爽に渡してもらうよう頼んだ」
耳まで赤くなった、その顔がかわいくて。
初めて、自分から涼くんをぎゅっとした。