瀬川くんのジャージ
「…自分から話しかけられなかったとか、格好悪くない?」
「全然、格好いい。
ありがとう」
意地悪だけど、優しくて。
恥ずかしがりだけど、格好いい。
双子だけど、今度は見分けられる自信がある。
こそっと持ってきていた鞄から、昨日借りたジャージを返す。
「また、私が困っているときは貸してね」
そう言うと。
涼くんは。
私の大好きな、片方だけのえくぼができる、満面の笑みでキスしてくれた。